2026.01.09
「2026年は量子セキュリティの年となる」
Quantum Insiderの記事「2026年は量子セキュリティの年となる」をベースに、2026年がなぜ「量子セキュリティの年」とされるのか、その背景と具体的な取り組みを解説します。
1. 2025年からのパラダイムシフト
2025年は「量子科学技術国際年」として、量子技術が単なる科学的関心事から、企業の取締役会や政府の重要政策レベルへと「認知」が広がった年でした。 2026年はこの流れを引き継ぎ、抽象的な議論から「実運用におけるセキュリティの確保」へと軸足を移す段階とされています。
2. 「量子セキュリティ」の2つの側面
記事では、守るべき対象を2つの視点で整理しています。
● 量子技術そのものを守る(Security for Quantum)
○ 知的財産の保護:量子コンピューティング、センシング、通信の開発には多額の投資が行われています。これらの機密情報や設計図、ソフトウェアが産業スパイや内部不正によって流出するのを防ぐ必要があります。
○ サプライチェーンの安全:量子ハードウェアに必要な特殊な材料や部品の供給網を保護し、信頼性を確保することが不可欠です。
● 量子技術の脅威からデータを守る(Security from Quantum)
○ 「Harvest Now, Decrypt Later(今盗んで後で解読する)」への対策: 現在の暗号技術は将来の量子コンピュータで解読される可能性があります。特に健康記録や国家機密など、長期保存が必要なデータは、今すぐ耐量子計算機暗号(PQC)への移行準備を始める必要があります。
○ 標準化の進展:NIST(米国国立標準技術研究所)などの機関が標準化を進めており、2026年はそれらを企業や政府が実際に導入し始める「実行の年」になります。
3. 具体的なアクションとグローバルな動き
2026年を通じて、単なるスローガンに留まらない具体的な活動が予定されています。
● ワシントンD.C.でのローンチ(2026年1月12日): FBI、CISA(サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁)、NISTといった米国の主要機関が集まり、量子時代におけるサイバーセキュリティの指針を提示します。
● 国際的な連携:量子技術のサプライチェーンや研究開発は国境を越えているため、アメリカだけでなく欧州やアジア太平洋地域でもサミットが開催されます。世界共通の規制や基準を整えることが目標です。
● 「信頼」の構築:量子技術の社会実装を成功させるための最大の要因は「セキュリティ」です。セキュリティが不十分であれば、どれほど高度な技術でも社会に受け入れられないため、2026年をその信頼を築くための決定的な1年と位置づけています。
結論
この記事は、量子コンピュータが「いつ完成するか」という議論を超えて、「今あるデータをどう守り、開発中の技術をいかに保護するか」という実務的なフェーズに世界が突入したことを宣言しています。
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